小さくて皺が刻まれた手。
僕と弟を育ててくれた手を握りながら、母に話しかける。
言語障害になってしまったが、僕のくだらない冗談は分かるようで、顔をしわくちゃにして笑う。
看護師さんが「やっぱり家族の方が話しかけると違いますね」と言った。
84歳の母の手を握りながら話しかければ、少しでも言葉が通じると信じて話している。
言葉を発することができなくなった母だが、笑顔だけは見せてくれる。
84歳になっても、間違いなく、僕の親なのだ。
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